押し入れから
冬物を出そうとして
゛父ちゃんの冬物″のラベルに
手を止めた
母さんは
そのまま 暫く動けない
思い出が溢れ出す
涙も一緒に 溢れ出す
「これは軽うて着やすいのう」
そんな台詞が 聞こえる
幾つかは 形見分けして
幾つかは 手元に残した
父が確かにいた証が
静かに ここに眠っている
父ちゃん 冬が来るよ
父ちゃん うちが着るけんな
うちが 大事に着るけんな
泣きながら ハサミを入れて
泣きながら ミシンをかけて
母は 自分サイズにしたて直す
父の温もりを まといながら
母は それでも涙する